勇者パーティ「黄金の剣」で三年間働いてきた雑用係のカイン・レイヴン。
荷物運び、装備整備、薬品調合、罠解除、地図作成、食料確保――。
あらゆる裏方仕事を一手に引き受けてきた彼だったが、戦闘能力が低いという理由で勇者から追放されてしまう。
しかし、仲間たちは知らなかった。
カインがこなしていた「雑用」とは、実際には鍛冶師、薬師、商人、学者、料理人、建築士、探索者、魔導技師など数十種類の専門職の技能を統合した超高度な仕事だったことを。
追放後、辺境の町へ向かったカインは、次々と発生する問題を解決していく。
壊滅寸前のダンジョン攻略。
赤字続きだった商会の再建。
魔物被害に苦しむ村の防衛。
失われた古代技術の復元。
本人は「少し知識があるだけ」と思っているが、その能力は常識外れ。
やがて王国中で「謎の天才裏方」の噂が広まり、多くの冒険者や貴族、王族までもが彼を頼るようになる。
一方、カインを追放した勇者パーティは徐々に没落していく。
装備は壊れ、補給は滞り、作戦は失敗続き。
これまで当たり前だと思っていた成功の陰に、カインの存在があったことを思い知る。
そして明かされる衝撃の事実。
「雑用係」と呼ばれていた職業の正体は、全ての職業を極めた者だけが到達できる伝説の超上位職――
《万職者(オールラウンダー)》
だった。
世界を支える最強の裏方が、仲間に見捨てられたその日から始まる、成り上がりファンタジー。
これは、一人の雑用係が世界の常識を覆し、やがて英雄たちを支える「英雄の英雄」と呼ばれるまでの物語である。