46歳でクビになった。妻も子どももいない。誰にも見送られず、会社を去った。
三島隆弘の人生は、そこで終わるはずだった。
だが——怪しいクリニックで受けた「無料健康診断」が、全てを変えた。
目覚めると、見知らぬ部屋。見知らぬ体。
鏡に映るのは、美しい少女。
「予期せぬ副作用により性別が変化しました」
冷酷な通告だけが、部屋に残されていた。
混乱し、引きこもっていた三島を救ったのは、元アイドルの土方法子。彼女が営む小さなアイドル事務所「ルーチェ・エンターテインメント」に、三島は「UMEKO」として迎え入れられる。
そこには、それぞれに傷を抱えた3人の少女たちがいた。
実家の農業と両立するめぐりん。
対人恐怖症でVTuberとして活動するさくら。
両親を亡くし、感情を失ったピアニストのユキ。
46年間の記憶を持つUMEKOは、彼女たちの「お姉さん」として、共にアイドルを目指すことになる。
月明かりの下で歌った時、UMEKOの歌声は確かに誰かの心に届いた。
「あなたには、光るものがある」
土方の言葉に、UMEKOは——三島は、初めて自分が必要とされていると感じた。
46歳の元おじさんが、16歳の美少女アイドルとして、人生をやり直す。
これは、居場所を失った者たちが、小さな光を集めて希望を灯す物語。
性別が変わっても、年齢が変わっても——
人は、何度でもやり直せる。