大陸有数の大貴族、ローゼンバーグ公爵家の嫡男アレクセイ。
金髪碧眼、膨大な魔力、そして使いきれないほどの財産を持つ彼は、人生の勝ち組……のはずだった。
だが、転生者である彼は絶望していた。
最高級のベッドは暑苦しく、料理は香辛料まみれで獣臭い。トイレは壺で、夜は暗くて何もできない。
魔法はあるが文明レベルは中世止まり。そんな「不便な贅沢」に、現代日本を知る彼の精神は限界を迎えていた。
「水がぬるい! 肉が硬い! ウォシュレットがない! こんな生活はもうこりごりだ!」
アレクセイは決意する。
領民のためでも、世界平和のためでもない。
ただ自分が「キンキンに冷えたコーラ」を飲み、「フカフカの食パン」を食べ、快適に引きこもるためだけに、圧倒的な財力と魔力を使って領地を魔改造することを。
これは、己の欲望のために上下水道を整備し、道路を舗装し、物流革命を起こした結果――なぜか周囲から「慈悲深き名君」「神の使い」と崇められてしまう、勘違い内政ファンタジー。