俺は、死んだ覚えがない。
三十六歳の会社員・高橋悠一が次に目を開けた時、彼はアドリス・ライラスという赤子になっていた。
優しい父セルウィスと、教育熱心な母ステラ。
二度目の人生で得た家族に愛され、聖騎士を夢見ていたアドリスの日常は、八歳のある日、山賊の襲撃によって壊される。
両親を殺され、自らも死を覚悟したその時。
彼を救ったのは、大剣を振るう冒険者ガイルと、その仲間たちだった。
ガイルから学ぶ、実戦で生き残るための剣。
魔術師ダイスから学ぶ、魔元素を操るための基礎。
アドリスに桁外れの魔力量や、すべてを焼き払う火力はない。
だが彼には、魔元素と魔力を異常なほど鋭く感じ取り、精密に制御する資質があった。
その力はやがて、本来一つに偏るはずの属性の壁さえ越えていく。
そして十歳。
適性試験を迎えたアドリスは、聖騎士にも魔術師にも進める可能性を示されながら、自ら冒険者の道を選ぶ。
王立学院・冒険者学科。
そこで出会う同年代の仲間たちと共に、今度は誰かについていくのではなく、自分自身の判断で世界へ踏み出していく。
最初から最強ではない。
剣を振り、魔術を学び、失敗し、ときには選び直しながら、一歩ずつ生きる力を手に入れていく。
二回目の人生は、自分で決める。
これは、すべてを失った少年が仲間と出会い、力を身につけ、やがて世界に隠された真実へ辿り着いていく物語。