灰が降っていた。
まるで天が、ひとつの名家の終焉を弔うように。
ヴァルステッド家の紋章は、炎の中で静かに崩れ落ちる。
罪は知らぬ。だが罰だけが与えられた。
まだ幼い少女の瞳に、赤い世界が焼き付く。
忠臣は断末の声を上げ、母は娘を抱いて立ち尽くす。
「アリア。生きなさい。
いつか、この国を呑みなさい」
手のひらに刻まれた家紋が、血で滲む。
そして炎の中、少女は闇へ消えた。
その名は、アリア・ヴァルステッド。
焚刑の夜に産まれた、復讐と覇道の娘。
血は剣を呼び、剣は運命を裂く。
彼女はまだ知らない。
この世界が、ひとりの少女を王にするため血を求めていることを。