辺境で畑を耕す農民カイルは、
ただ土を整え、水をやり、作物の声に耳を傾けて生きていた。
ある日、彼の育てた作物を嗅いだドラゴンが、
理由も告げず、静かに跪く。
それをきっかけに、畑は「管理すべき異常」として領主に囲われ、
測られ、守られ、最適化されていく。
だが――
管理されるほどに、畑は黙り、育つことをやめていった。
「奪わず、育て、分けるだけ」
それが間違いだというなら、
世界のほうが間違っている。
力も魔法も使わない農民が、
“管理する世界”と“循環する世界”の境界に立たされる。
これは、
戦わず、支配せず、
ただ世話をしていただけの男が、
世界の仕組みそのものを揺るがしていく物語。