「ヴァレリア嬢こそ、王妃に相応しい」
王宮の謁見の間で、第二王子ルシアンに婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢フィオナ・ヴァランティーヌ。傍らには、聖女の力を持つと噂の侯爵令嬢が勝ち誇った笑みを浮かべている。
周囲が同情の目を向けるなか、フィオナは静かに微笑んだ。
「─承知いたしました」
泣かない。すがらない。なぜなら彼女には、かねてより温めてきた"計画"があったから。
幼い頃に見た不思議な夢で得た知識──経営、流通、マーケティング。それらを武器に、フィオナは王都を離れて商会を設立する。
瓶詰め保存食に高級石鹸。革新的な商品は瞬く間に評判を呼び、やがて隣国ノルディス公国の若き宰相アレクシスとの取引に発展。冷徹な切れ者と名高い彼は、なぜかフィオナにだけ不器用な優しさを見せ始めて──?
一方、フィオナを失った王家では物流が滞り、財政は悪化の一途。偽聖女の化けの皮は剥がれ、王国の経済はフィオナの手のひらの上。
全てを失った元婚約者は今さら「戻ってきてくれ」と跪くが、フィオナは帳簿を開いて告げる。
「この負債額で?
──投資価値がございませんの」