騎士の国に産まれた王子、グレイス、１０歳。
彼は幼い頃から頭が良く、軍師としての才能の片鱗を見せていた。
幼くして病で母を亡くしたグレイスは、亡き母との約束である「妹を幸せにする」という想いを胸に、父のような立派な騎士王になるべく、日夜、剣の稽古をこなしていた。
剣の師である元近衛騎士団長のギルベルトや、兄にべったりなブラコンの妹アリア、男勝りでおてんばな婚約者のリリエット、気弱で優しい騎士見習いのアルフォンス、グレイスを慕うメイドのハンナなど、グレイスの周りには彼を慕う人物が多くいた。
王に仕える騎士たちに加え、城下に住む誰もが、優秀で心根が綺麗なグレイスが次代の王になるのだと疑っていなかった。
しかし、突如、グレイスは王を殺した無実の罪を、従兄弟によって被せられてしまう。
従兄弟ガストンの策略により、王位も奪われ、婚約者のリリエットも奪われたグレイス。
１０歳から１２歳の２年間、暗い牢獄の中で死なないように拷問されてきた彼は、全てを奪った従兄弟に復讐心を募らせる。
１２歳の時にグレイスは、何とか外へと逃げることに成功する。
そしてグレイスは国を取り戻すためには武力がいると考える。
グレイスは王子であることを隠して、自分の手駒となる騎士団を作ることを誓うのだった。
これは各地を巡って戦力を増やし、軍師として国を取り戻す、一人の王子の復讐の物語である。