「余命一年です」
そう告げられた瞬間、私が最初に思ったのは「じゃあ、もう我慢しなくていいのでは?」だった。
家の帳簿も、婚約者の尻ぬぐいも、妹のわがままも、全部手放して港町へ。
屋台の串焼き、短く切った髪、冷たい海。そして、なぜか私のリストに付き合ってくれる無愛想な騎士様。
半年後、届いた知らせは「誤診でした」。
死ぬはずだったのは、私ではなかった。
診断書を取り違えられたのは、「健康だと言われた」と笑った、あの騎士様。彼の残りは、あと半年。
春にしか灯らない灯台の下で、彼は書いた。
「この灯台の灯りを、フローラと見る。来年の春に」
今度は私が、あなたのリストを手伝う番です。
※短編版の内容は第1話にまとめています。第2話から新しいお話です。
※全60話。