過労で倒れた獣医師カイが目覚めたのは、魔獣が「処分するもの」としか見られない異世界だった。
魔法は使えない。首には、聴診器がひとつ。
脚の折れた小さな魔獣を、鍬を振り上げた村人たちの前で診察したことから、
辺境の村に、世界で初めての「魔獣の診療所」ができる。
・おなかを壊して畑を荒らす猪
・夜通しの難産
・老いた猫の、穏やかな最期
・森に広がる、原因不明の流行病
人間用の回復魔法は、魔獣には効かない。
けれど、熱、歯茎の色、腸の音、フンの中の小さな虫。
診て、考えて、確かめれば、見えてくるものがある。
「診てから、決めます」
そして一頭の小さな竜が、鎖の跡を残して運び込まれる。
国の規則では、衰弱した幻獣は処分。
カイに与えられた期限は、一か月。
治せるものは治す。治せないものは、せめて穏やかに。
お仕事×もふもふの、異世界動物病院。
※動物の死、解剖、処置の描写があります。
※医療描写は創作を含みます。実際の動物の治療は、動物病院にご相談ください。