神々の御業を模して“人ならざる者”を創ろうとした古の神官。
その果てに生まれたのは、心を持たぬ土の器——golem。
幾千年後。
golemを操るラビの国と、機械技術を掲げる教会の国は対立を深めていた。
ラビ学校に通う青年
パーサー
は、
古文献の読解力だけが突出した、扱いにくい学生と言われている。
だがその感性は、誰も気づかない“微細な変化”を見抜く、
ラビには珍しい才能だった。
ある日、彼は最新型golem
《クラーディ》
の調整を任される。
だがクラーディは、人の言葉を理解するかのように反応し、
従来のgolemとは明らかに違う“揺らぎ”を宿していた。
その変化は、やがて神話に連なる大きな秘密へとつながってゆく。
golem技術の深奥に隠された“始まりの罪”。
数千年前に追放された存在。
世界に静かに広がり始めた、崩壊の前兆。
パーサーとクラーディは、
対立する国家、封じられた歴史、そして神話の残響に巻き込まれながら、
世界の真実を暴く旅へ踏み出す。
——土の人形に、心は宿るのか。
——それを見届けるのは、人か、それとも神か。
一人と一体の選んだ答えが、滅びゆく世界の運命を変えていく。
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