ナツは33歳、東京で暮らす会社員。久しぶりに帰省した雨の日、「10年前のあの日」へと思いを馳せる。
実家の部屋で見つけた1枚の写真には、かつて親友だった雪と笑い合う自分の姿があった。
10年前、大学を卒業したナツは大阪で働き始め、趣味の「創作小説サイト」でアイドルグループSpringをテーマにした物語を書いていた。
そのサイトを通じて出会ったのが、後に親友となる雪。彼女とナツは、お互いを「水月」「葉月」と呼び、創作の世界で心を通わせていく。
やがて二人は現実でも出会い、雪がアイドルグループ「Autumn」の研究生として努力していることを知る。ナツは表舞台ではなく、編集者という夢を密かに抱いていた。
夢、現実、すれ違い、そして10年。
「その日」も、雨だった――。