かつてギルド最高位・レッド級(国家戦力級)として名を馳せたゼルヴォード・カレグス。
多くの戦場を駆け抜け、数々の脅威を退けてきた彼だったが、ある任務をきっかけに気づく。
「どんなに強くても、武器や防具が壊れたら意味がない。
ならば──俺がそれを支える側になればいい」
戦士としての道を捨て、鍛冶師としての道を選んだゼルヴォードは、
五年間の修行を経て、新天地を求め旅をしていた。
今や彼の名を知る者はなく、ただの無名の旅人として道を歩んでいた。
そんな中、道中で出会ったのは、一匹の大型魔獣「鉄爪獣(アイアン・クロー)」と、
偶然と遭遇し、苦戦する三人の冒険者。
彼らは連携を取りながらも決定打を欠き、徐々に追い詰められていく。
そして、ついに魔獣の爪が魔術師へと振り下ろされ──
──銀閃が走った。
一瞬にして魔獣は真っ二つ。
だが、それはゼルヴォードの旅の終わりではなく、始まりに過ぎなかった。
やがて、彼はある場所で、奇妙な噂を耳にする。
「名もなき鍛冶師が鍛えた剣が、持ち主の意思に応じて形を変える」
「誰も知らぬはずの鍛冶の技が、ひそかに広まっている」
そして、彼が足を踏み入れたその場所には、
かつての戦場に似た"違和感"──
"それ"は、彼が関わるはずのなかった歴史。
だが、決して無関係とは言えない何か。
これは、かつての英雄が「鍛冶屋」として生きる物語。
"戦う者"から"支える者"へ──新たな旅の果てに、運命の"交差点"が待っている。