『誰もが読み、誰もが笑い、そして誰もが震える。』――冒険者の失敗を綴る、皮肉にまみれた恐怖の新聞“迷宮実話”
記者の姿を見た者はいない。だが誰もが知っている。記者は助けた冒険者の失敗を記事にしているという事実だけは。
◆詳しいあらすじ◆
帝国領土最西端の都市――グラン=リュミエール。
“冒険者の街”と呼ばれるこの地には、ひとつの暗黙の了解がある。
「幸運に助けられたその日は、ギルドに近寄るな」
依頼の報告のためにギルドへ向かわざるを得ない者を待ち受けるのは、
同業者たちの妙に優しい慰めの言葉と、掲示板に貼られた一枚の紙。
それは、通称“記者”と呼ばれる匿名冒険者が勝手に作成・掲示している新聞――迷宮実話。
ダンジョンで死にかけた冒険者たちの“失敗談”を、皮肉たっぷりに書き連ねた、酒場の肴としての読み物だ。
記者は男か女か、年齢も素性も不明。姿を見た者は誰もいない。
命の危機を救われた者は、その代償として“恥”を晒される。
本人が知らぬ間に、失敗のすべてが記事として語られるのだ。
誰もが笑い、誰もが読む。
そして、誰もが次は自分かもしれないと、心の奥で震える。
新聞の最後は、いつもこう締めくくられる
※本記事は、冒険者の反省と酒場の肴を兼ねてお届けする。
失敗は誰にでもある。だが、次に笑われるかどうかは、諸君の運と記憶力次第だ。