「鬼姫に会いに来ました」
――しかし彼女は、もうこの世にはいない。
香川県に浮かぶ小さな島、女木島にたつ『喫茶ダニエル』。
カウンター席と小さなテーブル席だけの狭くて古い喫茶店だ。
そんな店には、亡き店主・蝶子さんを慕う人々が今日も全国各地から訪れる。
時にブロガー、時にダンサー、時に料理人、そしてハガキ職人……。
多くの名前を使い分け、様々なジャンルで活躍した蝶子。
謎多き彼女を探す「お友達」の対応に追われるのは、現在の店主・瀬戸健だ。
しかし彼もまた蝶子に救われ、島へやってきた青年だった。
故人が遺した温かい縁に人々が導かれ、瀬戸内の美味しいご飯を食べて悩んで、そして前を向く。
懐かしくて愛おしい、島とご飯と心の交流を描いた連作短編集。