トイレの窓を開けたら、赤い空に月が二つ、空には摩天楼が浮かんでいた。
好奇心に負けて飛び込んだ俺は、桜色の髪をした美少女アンドロイドに生まれ変わってしまう。
新しい名前はハル。新しい体は、世界を救えるほど強いらしい。
だったらまず、この世界を見てみたい。学校に通って、友達を作って、二度目の青春を楽しもう!
……と思ったのに、初日から寄り道で遅刻。いじめを止めれば支配者に目をつけられ、目立たないつもりの試験では学校の首席に。
ようやく作ったお茶の同好会にも、ひと癖ある仲間が集まってくる。
『ハル様、少しは女性らしく』
「それよりサクラ、あっちの店に行ってみよう!」
世話焼きの専属AIと歩く街も、友達と囲む食卓も、好きな子と過ごす放課後も。この世界には、まだ知らない楽しみがいっぱいだ。
けれど、この体は本来、別の世界を侵略する兵器として造られたものだった。
誰かを傷つけるための力で、大切な人たちを守れるだろうか。
答えはまだ分からない。それでも、一緒にお茶を飲みたい相手がいる。
世界を救うことになっても、この青春だけは譲れない。