勇者パーティーの荷物持ちだったアルト・リーフは、戦えないうえに、授かったスキルも地味な《再利用》だった。
できるのは、捨てられた物を役に立つ物へ作り直すことだけ。鉄は鉄のまま、木は木のまま。新品の名剣や高級魔道具を作れるわけではない。
だが、壊れた荷車は井戸の取っ手になる。割れた魔石は夜を照らす灯りになる。錆びた剣は畑を耕す農具になる。
それを勇者たちは「ゴミしか直せないハズレスキル」と笑い、魔物だらけの辺境でアルトを追放した。
行き倒れ寸前でアルトがたどり着いたのは、井戸も畑も柵も壊れた捨て村だった。若い村長ミナと腹を空かせた子どもたちを前に、アルトは廃材を集めて壊れた井戸を作り直す。
冷たい水が戻った瞬間、誰も価値を見なかった廃材は宝の山に変わった。
水が出る。飯が増える。灯りがつく。防壁ができる。壊れた道具を持ち込む人が集まり、捨て村は少しずつ再生拠点へ変わっていく。
一方、アルトを追放した勇者パーティーと王都工房は、彼が直していた荷車、縄、灯り、予備道具を失い、高級素材を買うだけでは何も回らないと気づき始める。
戻れと言われても、もう遅い。
これは、捨てられた荷物持ちが、捨てられた物と捨てられた村を拾い上げ、辺境一の再生拠点を作る物語。