下等勇者――。
それは、人気ローグライクゲーム『Hero's
Ring』で召喚できる捨て駒のキャラの蔑称だ。
下等勇者は一つでも選択を間違えると容易に死ぬ、扱いの難しいキャラだった。
文楽は、10年……10万回以上の試行錯誤のすえ、世界で最初の『Hero's
Ring』完全攻略者となった。
攻略をして気がついた、下等勇者は捨て駒なんかではない――と。
クリアした直後、気がつくと文楽はゲームの世界に巻き込まれていた。
しかも――1歩間違えれば容易に死ぬ、捨て駒の下等勇者として。
『ようこそ、選ばれし勇者の皆さま』
『この世界を滅ぼそうと企む99の魔王たちを倒してください』
召喚された勇者たちは、自分たちの世界を守るため、99体の魔王を滅ぼすまで戦わされ続ける使命を背負う。
文楽もまた、望んでいない世界防衛の運命に巻き込まれていくが――。
『資格なき【下等勇者】には、死を持ってその無価値を証明してもらいます』
その死刑宣告に、その場にいた人たちは慌てふためく。
だが、彼は違った。冷静に、生き残る算段をつけ、強くなる方法を計画する。
このゲームを再び終わらせるためには、泥臭く努力を続けなければならない。
こうして、神算鬼謀の勇者は生まれた。