荒事において屈指の力を誇るニケー王国に生まれたデモン・イーブルは“掃除人”だ。ランクは「超級」。ずば抜けた能力を有するがゆえの肩書である。“掃除人”と言ってもいろいろいて、中でも自らの身勝手さは特別だとデモンは確信している。性悪で、極度のサイコパスかもしれないとも思っている。サディストであることにも自覚的だ。
長らく王国暮らしを続けていたデモンは、ある日、旅に出た。たとえば、なんらかのプレッシャーをともなう面倒事を請け負ってやることはどこにおいても歓迎されるに違いない。だが無論、人間社会に貢献してやろうという理由で世界を巡ろうと考えたわけではない。
己の内に常にある、黒々とした邪心の種火。
そこにくべるは善悪問わずの刺激という名の薪。
小さかった炎はやがて燃え盛り、業火が生み出すのは無限の快楽だ。
甘美でしかないその瞬間を味わいたいがために、デモンは今日もあらゆる“ゴミ”を冥府へと送呈する――。
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