陰キャでぼっちで社畜な「俺」は、気づけば見知らぬ世界の森の泉になっていた。
名前すら思い出せないのに、浮かぶのはクソみたいな記憶ばかり。顔も手足もなく、文明もない水底で、耐え難い孤独と退屈を紛らわす唯一の手段は、かつての趣味――“造形”だった
人間だった頃の自分を繋ぎ止めるように、理想と妄執と性癖を詰め込んで等身大の美少女フィギュアを作り続けた末、いつの間にか意識はその器へ移っていた。
これは、意図せず“美少女の泉の精霊”になってしまった俺が、言葉の通じないまま誤解とすれ違いを積み上げ、気づけば世間から“泉の女神”として崇められていく物語。
本人の困惑とは裏腹に、泉の水は人々を癒やし、浄め、救いをもたらす。
中でも、泉へ通い続ける一人の男が“泉の女神”の伝説を世に知らしめた時、人々の祈りと欲望は泉を放ってはおかなかった。
辺境の森の小さな泉は、やがて女神の聖地となり、巡礼者が集まり、商人や権力者は奇跡を利用しようと動き出す。
祈りは力となり、力は水を増やし、増えた水は「俺」を女神へと染めていく中、その中で、聖者と呼ばれた男だけが、女神ではなく、泉の奥にいる「俺」へ手を伸ばし始める。
口が悪くて湿っぽい元男の泉の女神と、水も滴る良い男――ただし真面目すぎてジメジメ重たい――が、勘違いし、勘違いされ、追いかけられ、逃げ回り、すれ違い続ける話です。
挿絵あり回→★
主人公イズミール視点の話→〇
副主人公アイオリス視点の話→◇
その他人物視点の話→◆
あとがきあり回→△
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