妻と娘を愛しながらも、前世で心を削られ、救われないまま生涯を終えた男。その魂は、白く幻想的な梅の花に導かれ、異世界の地方領主の長男――ルーメンとして生まれ変わる。
剣と魔術が息づくその世界には、心の傷や強すぎる想いが魔力を歪ませ、肉体や存在そのものを蝕む怪異があった。
姿が薄れ、世界から消えかける幼なじみ。
守りたい想いが暴走し、自らに傷を刻む家族。
水を介して心と魔力が繋がってしまう友。
焦りと不安から心が二つに分かれてしまう妹。
孤独と後悔に呑まれ、体が石へ変わっていく師。
さらに学院では、誇りに縛られ存在そのものが世界から外れる者、歪んだ想いが魅了となる者、人が魔物のように変わる異変、夢の石に心を奪われる者が現れる。
それらは病でも呪いでもない。
言えなかった痛み、誰にも届かなかった助けの声が、魔力という形を取って暴走したものだった。
ルーメンが授かったのは、癒し魔術では治せない心の歪みに触れ、乱れた魔力の流れを整える未知の力――調律魔術。
相手の痛みに寄り添い、恐怖を受け止め、壊れかけた心をもう一度この世界へ戻すための魔術だった。
幼なじみ、友人、家族、師匠、学院で出会う少女たち。
それぞれが抱える痛みは違い、魔力暴走の形もまた違う。
そして救いの先には恋がある。
幼い頃から隣にいた幼なじみとの想い。
師として導き、やがて対等な存在として寄り添う女性との静かで熱を帯びた関係。
淡い恋心、すれ違い、嫉妬、選べない想い。
学院生活の中で、ルーメンは友と学び、家族の成長を見届け、恋に揺れ、進路を選び、成人を迎える。
だが、魔力暴走は終わらない。
個人の心の痛みは、やがて街全体を揺るがす異変へと広がり始める。
前世で救えなかった男が、異世界で心の傷を調律する。
梅の花に導かれた少年が、大切な人々の絶望を希望へと書き換えていく、救済の異世界ヒューマンドラマ・ファンタジー。
異世界転生, HJ大賞7, 集英社小説大賞7, やりなおし, 魔術, 救済, 心の傷, 恋愛, 長編, 魔力暴走, 調律, ダークファンタジー, ヒューマンドラマ, 幼馴染
:1週間以内に投稿された新規作品