社交界で「白百合令嬢」と呼ばれるリリア・ルヴェリエには、誰にも言えない秘密がある。
王国屈指の実力を持つ騎士団長、レオニス・ヴァルグレイ。
冷静沈着で、無口で、戦場では「氷狼」と呼ばれるその人こそ、リリアにとって人生最大の推しだった。
遠くから見守りたい。
迷惑はかけたくない。
同じ空間にいられるだけで十分。
そう思っていたリリアは、ついにレオニスと正式に挨拶することになる。
推しが、目の前にいる。
推しが、自分の名前を呼んだ。
推しが、手を差し出した。
内心では限界を迎えながらも、リリアは白百合令嬢として完璧に振る舞おうとする。
推しに迷惑をかけないため、礼儀正しく距離を取る。
けれど、リリアは知らなかった。
氷の騎士団長レオニスもまた、彼女を「白百合の君」として密かに崇拝していることを。
彼女を傷つけたくない。
自分の血と泥の匂いを近づけたくない。
だから彼もまた、静かに距離を取る。
その結果、王都中に広まった噂は――
「白百合令嬢と氷の騎士団長は、どうやら不仲らしい」
推しに迷惑をかけたくない令嬢と、白百合の君を汚したくない騎士団長。
相手を大切にしすぎる二人が、塩対応を重ねながら不仲説を育ててしまう、すれ違い両片想いラブコメです。
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