王太子の婚約者アリスは、幼いころから優秀だった。
そのため王妃や王太子、国王たちは、面倒な仕事を次々と彼女へ押しつけていた。
災害対策の書類整理、慰問先で勝手に交わされた約束の後始末、王族の代わりの執務。
アリスは食事を取る暇もなく働き続けていたが、家族も婚約者も、彼女がどのような生活を送っているのか知ろうともしなかった。
そして、王家や貴族たちが集まるピクニックの日。
急な大雨の中、皆を避難させるため最後まで会場に残ったアリスは、家族にも婚約者にも忘れられ、一人置き去りにされてしまう。
もう無理。
絶対に帰りたくない。
雨の中を歩き続け、倒れたアリスを助けたのは、異国の公爵アレクだった。
アレクに保護され、初めて温かい食事と休息を与えられたアリスは、自分の知識と能力を生かし、異国で新しい人生を始めることを決意する。
一方、アリスがいなくなった王国では、誰にも処理できない書類が山積みとなり、王族たちはようやく気づき始める。
自分たちが当然のように使っていた少女が、どれほど国を支えていたのかを。
だが、気づいたときにはもう遅い。
これは、家族にも婚約者にも大切にされなかった有能な令嬢が、すべてを捨てて自立し、自分を特別に扱ってくれる男性に出会うお話。
そして、彼女を失った王国は大きな代償を払うことになる。
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