王太子レオンスに婚約破棄を告げられる夜、伯爵令嬢コレットは大広間ではなく、宮殿の厨房で木苺パイを食べていた。
なぜなら彼女は三日前に、正式な欠席届を出していたから。
それなのに大広間では、コレットそっくりの令嬢が王太子に断罪されている。聖女への嫌がらせ、毒入り香油、嫉妬による暴言。次々と罪を並べられる“コレット”は、礼儀正しくうなずき、そして静かに告げた。
「お言葉ですが、殿下。わたくしは本日、欠席しております」
その“令嬢”は、前世で舞台衣装係だったコレットが縫い上げた身代わり人形だった。
魔法としては地味すぎると笑われた《縫い留め》の力。けれど、人形は嘘をつかない。記録糸は偽証を拾い、縫い目は誰の手が何を仕込んだかを覚えている。
公開断罪は、公開失態へ。
捨てられた令嬢は、もう王子の隣には戻らない。身代わり人形と針一本を手に、危険な場所へ人の代わりに踏み込む“救命具師”として、新しい人生を縫い直していく。
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