「お前には、感情がない」
婚約者である王女から切り捨てられ、辺境ミルドレーンへ追放された宮廷薬師エリアス=ヴェント。
だが彼は動じない。
なぜなら――この国の医療は、最初から“間違っている”と分かっていたからだ。
祈祷をやめ、瀉血を捨て、飲む水と汚れた水を分け、病人を離す。
ただ「数えて、手順を守る」だけで、灰死病に沈んでいた辺境の村は、ひと月で息を吹き返す。
やがて病は宿場町を、城壁都市を襲い、迷信にすがる宮廷医師団は患者を次々と失っていく。
王国は――彼が追放先で築いた“防疫制度”に、頭を下げるしかなくなる。
これは、剣を一度も抜かず、制度で疫病を制した追放医師の再建録。
戦争なし。ざまぁあり。
でも本質は――医療の再設計。
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