香川県・多度津町。
四国鉄道発祥の町で、多度津駅に勤める駅員・橋倉雅治は、春になるたび祖父のことを思い出す。
祖父・勇もまた、かつてこの町で人々を送り出す仕事に就いていた。だがその胸には、生涯忘れることのない、ひとつの別れが残されている……。
幼い頃からいつも共に過ごしてきた、鉄道に夢を抱く勇と、商家の娘として育つ小春。二人にとって、隣にいることは当たり前だった。
しかし、歳を重ねる二人の関係に少しずつ距離が生まれる。
言葉にできない想い。気付いてしまった気持ち。
それでも、何も変えられないまま時間だけが過ぎていく。
そして迎えた別れの日――
勇は駅員としての最初の仕事に就き、ホームに立ち、小春は汽車に乗る。
窓を隔て、互いに気付く二人。
目は合った。言葉も届きそうだった。
それでも――間に合わなかった。
選ばなかったんじゃなく、選べなかった。
分かっているからこそ、苦く、儚い。
これは、最後まで言えなかった想いを紡ぐ物語。
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