数学の発見が消えたら、未来のスマホもロケットも存在しない。
現代日本の数学科院生・佐伯悠真が目を覚ますと、そこは18世紀。1733年のサンクトペテルブルク。しかも自分は、史上最高級の数学者レオンハルト・オイラーになっていた。目の前に出されたのは、数学史に名高いバーゼル問題。悠真は反射的に答え「π²/6」を書いて周囲を驚かせるが、すぐに「では証明を」と詰められて青ざめる。答えは知っている。だが、18世紀の言葉で説明できなければ、ただの詐欺師でしかない。
現代知識を走り書きする主人公、それを異常な記憶力で整理するカタリナ、証明の穴を容赦なく突くベルヌーイ家の令嬢エリザ。三人は、失われかけた数学史をこの時代に刻み直していく。無限級数、グラフ理論、天文学、力学。数式はやがて学会を動かし、国家を動かし、未来文明の土台となる。
これは、答えだけ知っている凡人が、天才オイラーとして歴史に数式を残す物語。
彼が証明できなければ、人類の未来は少しずつ消えていく。
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